桐蔭特許翻訳講座 ― 2013年06月14日 17:55
今回は桐蔭横浜大学生涯学習センターの特許翻訳講座に関するお話です。
先月から特許翻訳講座(訳語選択の「なぜ」を考える)を受講しており、現時点で全9回の講座の内、6回を終了しました。毎週1回、特許明細書の中から、技術的要素の比較的少ない題材(130ワード前後の英文)が課題文として取り上げられ、受講者が事前に提出した翻訳文に現れた多数の訳語について、当日、訳語選択の理由と適否が議論されます。受講後には、別途、講師のコメントおよび訳例がメールで配信されてきます。
自分で選択した訳語は1つでも、受講者全体では思った以上に訳語がバラつくこともあり、訳語選択の考え方が十人十色であることに驚きました。時代背景まで考えなければいけないこともあります。例えば、原油開発の初期の時代が記載されている題材で出てきた表現、「a well of natural gas」は、現代では通常、天然ガス井という訳語が用いられますが、その当時では原油を探して掘ったものの予期せぬ天然ガスが出てきたのだから、人工的な構造物であるガス井ではなく単なる「天然ガスの井戸」の方が好ましいという解説もありました。
回を重ねるにつれ、訳語選択を考える際の自分のアンテナ感度がアップしたような気がします。改めて気づかされたポイントは以下のとおりです。
(1)その分野で良く使用される用語(日本語)を事前に効率よくチェックする必要がある。英文の内容を理解していても、それを適切な日本語で表現できるかどうかは全く別の問題である。
(2)英文和訳する場合、日本語辞書をこまめに引いて微妙な意味の違いを理解し、把握した上で、訳語を選択する必要がある。
(3)英単語の本来の意味を英英辞書等で確認するのは、誤訳を防ぐために必須である。
(4)英単語の訳語に引きずられて、和訳した文章が、日本語として不自然な表現になっていないか確認する必要がある。
ここで、翻訳に伴うネット検索や日本語の使い方に関して、私が参考にしている本を紹介します。(以下の写真をご覧下さい。)
(1)Google検索の秘伝書
ネット検索のノウハウが満載で、一見の価値がある本と思います。
(2)きっちり!恥ずかしくない!文章が書ける
朝日新聞のベテラン校閲記者の書いた本で「言葉の仕組み」と「助詞の使い方」について解説しています。
(3)文章は接続詞で決まる
読者に分かりやすく、印象に残る文章を書くため、プロの作家は、接続詞から考えるそうです。
このところ、桐蔭の講座を受講するときは、ほとんど雨が降っており、傘の持参が欠かせません。梅雨本番を迎えているので仕方ないことですが、紫陽花が映える季節だなと実感しています。(以下の写真をご覧下さい。)
(Google検索の秘伝書)

(きっちり!恥ずかしくない!文章が書ける)

(文章は接続詞で決まる)

(散歩道の紫陽花)

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