桐蔭特許翻訳講座第3期2014年01月03日 16:52

今回は、桐蔭特許翻訳講座第3期のお話です。

桐蔭横浜大学の生涯学習センターにて開催される特許翻訳講座第3期(115日から226日)は、第2期に引き続いて「訳語選択の【なぜ】を考える」と題する内容です。課題文を翻訳する際、どうしてその訳語を選択するに至ったのか、受講生が採用した調べ方や訳語選択の考え方を全員で共有するプロセスが特徴です。前回もそうでしたが、今回も自分では気付かない思考プロセスが現れるのを期待して、受講するのを決めました。年度末にからむ大学側の施設利用に制限があるらしく、全6回の講座(前期は10回)となっています。

訳語選択に当たっては、日本語の語彙の微妙な差異を十分に理解していないと、原文の英語に近い訳語を選び出すことが難しくなります。英英辞典で原語の意味範囲を確認すると共に、日本語の辞書でその訳語の意味範囲を調べて、最も適切な言葉を選択する必要があります。原語に無い意味合いを足したり、原語の意味の一部を削ったりすると、訳者の作文と指摘される恐れがあります。

そこで、便利なのが、日本語の類語辞典です。以前から、1冊欲しいと思っていたところでした。たまたま立ち寄った紀伊國屋書店で、そのことを思いだし、辞書コーナーで数種類の類語辞典を手にとって見ました。内容を十分確認した上で、気に入った1冊を購入しました。(以下の写真をご覧下さい。)

出版元の宣伝文句は、以下の通りです。【類書中最多の66200項目収録。手紙・メール・報告書・レポート・論文・翻訳…文章を書くときに、俳句・短歌を詠むときに、ぴったりの言葉が簡単に引き出せる、使いやすい決定版類語辞典誕生。】

内容確認に使用したのは、桐蔭特許翻訳講座で話題に上った「水産物」と「海産物」の違い。両者とも魚介類、海藻など、水中もしくは海でとれる有用なものを意味しますが、海産物には加工品が含まれます。この点がしっかり説明されていたので、下記に示す講談社類語辞典を購入しました。

  

(類語辞典)

  

類語辞典


工場の爆発事故2014年01月13日 14:34

今回は工場の爆発事故に関するお話です。

最近は、コンビナート地帯の工場夜景が海側から眺めると特に綺麗だと良く話題に上りますが、24時間操業をしている工場の内部では、常に安全に配慮した作業が徹底され、安全操業に向けた絶え間ない努力がなされています。しかし、それにもかかわらず、事故の発生は、皆無ではありません。

2014110日の読売新聞の記事を引用します。【三重県四日市市の「三菱マテリアル」(本社・東京都千代田区)四日市工場で、同社と下請け業者の作業員計5人が死亡、12人が重軽傷を負った爆発事故で、同社は10日、爆発した水冷熱交換器を710か月洗浄していなかったと明らかにした。同工場では20102月、別の交換器の洗浄の際、化学物質の残留物で作業員がやけどをする事故が起きて以降、洗浄の頻度を増やすことを検討していたという。同工場は10日から安全が確認できるまでの間、操業を停止した。工場には熱交換器を洗浄する際のマニュアルはあるが、どの程度の温度まで下がれば安定状態になるのか、窒素をどれくらいの濃度まで注入すれば良いのかといった数値の基準は書かれておらず、作業員の経験則に従って行われていたという。】

さらに、毎日新聞 201419日の記事を引用します。【三菱マテリアルの四日市工場は、携帯電話やパソコンなど多様な製品に組み込まれている半導体基板の原料「多結晶シリコン」を製造している。(以下の図を参照。)板ガラスの原料にも使うケイ石から作る粉状の「金属シリコン」を海外から輸入。化学反応させて製造するが、その際にケイ素(シリコン)などの化合物「トリクロロシラン」(液体)を蒸留塔で繰り返し蒸留して不純物を除去。さらに炉の中で水素ガスを加えて熱分解で固形の多結晶シリコンを作る。未反応の排出ガスは循環させて再利用する。今回の爆発は、この循環過程で温度調整に使う熱交換器を取り外して洗浄する作業中に発生した。】

自分も石油精製装置の運転に従事していた経験があり、装置の保守点検には、相当の費用と労力を注ぎ込んで行うのが一般的であるとの認識を持っていました。熱交換器についても、定期点検時(通常1年から3年以内)に内部の洗浄を行うのは言うまでも無く、装置の腐食状況を確認するための材料の肉厚測定や非破壊検査を実施することが予め決められていました。今回の三菱マテリアルの四日市工場の事故においては、熱交換器を710か月洗浄していなかったと報道されています。詳細な事情は、伝えられていませんが、少なくとも安全に対する会社の意識が問題視されています。以前、自分が勤務していた会社で、保守点検費用を大幅に削減して実績を上げた工場長が、後年それに起因する大事故の発生によって責任を追及されるということがありました。削ってはいけない一線を越えてまでコストカットに猛進した結果であると思われます。しかし、実際には、どこがその越えてはいけない一線なのか、後になって分かることが多く、事前に判断することが難しいことが事故の撲滅に至らない要因の一つであろうと考えます。

 

 

(多結晶シリコンの製造工程)

多結晶シリコンの製造工程

 


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