特許翻訳トライアルその32013年07月05日 16:02

今回は特許翻訳トライアルの進捗(その3)に関するお話です。

以前の記事で6つめのトライアル(中規模翻訳会社のF社)を準備していると書きましたが、応募した結果は、ご返事無し(合格者のみに連絡がくる)でした。不合格の理由は相変わらず不明ですが、根本的な原因があるように感じました。

また、自分としては相当敷居が高いのを承知の上で、別の翻訳会社(中規模、経験年数5年以上必須)に応募したところ、最初の書類審査をクリアできず、トライアル問題は送付されてきませんでした。書類審査に通らないのは初めてのことで驚きましたが、厳密な審査基準を採用している会社もあるということなのかも知れません。

そこで、問題解決の手段として、合否に拘わらず、添削結果が添付されて戻ってくる有料のトライアル(英文和訳、化学)に応募してみました。その結果、自分の翻訳スキルが、必ずしも充分でないことが判明しました。添削結果は、納得できない部分があるものの、冷静に考えると、全体として詰めの甘さを認めざるを得ませんでした。桐蔭特許翻訳講座においても、感じていたことですが、訳語選択をする場合、日本語としてシックリこないときは、もう少し突っ込んだ調査をして、納得できる訳文に仕上げる必要があるにも拘わらず、そこで粘らないのは、プロの翻訳者としての自覚に欠けている部分があると思っています。

これからは、従来の方針を変更し、むやみにトライアル挑戦することを止め、じっくりスキルアップを図ることとしました。当面取り組む課題として、以下の項目を実行していきたいと考えています。

(1)特許明細書の書き方(日本語)のレベルアップ

以前の知財業務の経験から、日本語の明細書を書くことに抵抗感は持っていませんでしたが、弁理士レベルの明細書が作成できているかどうか再度確認して、不足しているスキルについては、早急に補充する必要があると感じています。英文特許明細書を和訳する場合、その明細書の情報だけをベースに自分1人で最初から特許庁出願用の日本語明細書を完成させることが出来る程度に、明細書作成のスキルが無いと、充分な翻訳にはならないのではないかと考えています。

(2)特許翻訳(英文和訳)処理量の増大

具体的な翻訳事例を多く積み重ねていかないと、訳文が練れてこないし、訳例の蓄積もままなりません。化学の技術分野毎にテーマを決めて、月に何件と目標を定めて、取り組んでいくのが良いと考えています。

(3)調べ物に関するノウハウの蓄積

納得できる調査結果を効率的に得るためのノウハウを実践を通じて蓄積し、自分専用の標準的な方法として確立していくのが目標です。翻訳事例の蓄積が進むにつれて、ノウハウが充実していくことが期待されます。

気分を一新させるため、散歩をしていたら、公園の綺麗な花が眼に入りました。(以下の写真をご覧下さい。)小さな花々ですが、訪れる人を和ませようとひたむきに頑張っているように感じました。以前に見かけた本のタイトル「置かれた場所で咲きなさい」がピッタリくる風景でした。

また、散歩途中、道路を横切る高架橋の側面にツタがいっぱいはびこっているのに気づきました。(以下の写真をご覧下さい。)下側に栄養分や水分を供給してくれる土壌もないのに、横へ横へとツルを延ばしていく生命力には驚きです。

人間万事塞翁が馬というように、bad newsの後にはgood news がくるものと期待して、これからも気落ちすることなく特許翻訳を続けていこうと考えています。

 

(公園の花)

公園の花

 

(はびこるツタ)

はびこるツタ

 


コメント

_ 楽しみに読んでいます。 ― 2013年07月07日 19:43

特許翻訳者を目指している現役化学系エンジニア、54歳です。ある大手翻訳会社には登録になっていますが、未だ仕事は来ません。
私もなかなかトライアルが受からないときに、有料トライアル(トランスプライム)を受けました。返って来た講評は、納得する部分(日本語の表現力が不足している)と言う部分もありましたので、とても参考になったことは確かです。ただ、納得出来ない部分もありました。エンジニアであれば、自分の特許では使うであろう単語(和製英語、例えば、order)も日本語に直すのです。ちょっと違和感があります。もう一つは、transportの訳語ですが、私は移動としたのですが(化工の移動現象を想定)、返って来た添削は、移送でした。何か、腑に落ちないです。

_ jeff ― 2013年07月07日 21:34

「楽しみに読んでいます」さんへ
コメント頂き有り難うございます。トライアルから受注に至る道のりは、自分が当初想定した範囲を超えて、大変なものと実感しています。へこたれず、諦めず、着実に前進することで乗り越えていきたいと考えています。引き続き、このブログを読んで頂けたら、大変うれしく思います。

_ 特許翻訳志望者 ― 2014年04月09日 17:03

いつも情報有難うございます。化学系の研究開発+特許部門在籍経験有というバックホーンが共通なので、親近感を持ちながら読んでおります。具体的な資料の紹介はたいへん有難いです。
特許翻訳に関してはまだ情報集め段階でゼロからの出発なのですが、記事に出てくる有料のトライアルの会社でレッスンもやってくれるそうなので、最初にこれを受けようか迷っています。が、それ以前に講座などを受けなくてよいのかとも思います。地方なので通信講座を探すことになりますが。
一番最初の段階にどうするか、どうやってお決めになりましたか?今やり直すとしたらこうする、というようなことはありますか?ご経験からアドバイス頂けないでしょうか。

_ jeff ― 2014年04月10日 23:18

「特許翻訳志望者」さんへ
コメントを頂き有り難うございます。最初のステップをどう踏み出したら良いかというご質問だと思います。私の場合は、特許翻訳の全体像を把握するため、体系的に解説してくれる特許翻訳スクールを最初に探しました。ブログにも書いたように、講座の資料が充実していること、翻訳実務への橋渡しが期待できることなどから、東レの特許翻訳講座を選択しました。入門講座は、半年通学し、講師陣や講座の雰囲気、進め方などが分かったことから、専門講座は通信制を選んで半年間、受講しました。特許翻訳者の中には、翻訳スクールに通ったことが全然無い方も相当おられると聞きます。要は、自分が何を求めているか、それを満たしてくれる相手にどうアクセスするかを調べることが肝心と思います。

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